刺草の雑記帳

好きなもののことを書き留めるブログ。刺す草と書いて「いらくさ」。

ピンク色と「隗より始めよ」

 

「ダサピンク現象」ということばがあるらしい。女性向けのものをつくるとき、作る側の一部がむやみにピンク色を使うよう推してくることや、それによって(ターゲットとされる女性が求めていないような)ピンク色のものが量産されることをいうようだ。


残念な女性向け商品が作られてしまう「ダサピンク現象」について - yuhka-unoの日記

 

上の記事を読んで考えたことをまとめたが、あさっての方向に行ってしまった。

 

ピンク色に分類される色は、おおむね可愛らしい色だと思う。

「可愛らしい」以外にも、「清楚っぽい」「和む」「大人っぽい」「美味しそう(果物系・お菓子系・肉系など)」「けばけばしい」「チープ」「グロテスク」「毒々しい」等々、色々な感想を見る人に抱かせる「ピンク」があるのだけれど、「清楚で可愛らしい」も「毒々しくて可愛らしい」もたぶん成立するので、ピンクは可愛らしい色だと思う。「可愛い」の懐はとても広い。「可愛くないのが可愛い」などという矛盾さえ受け入れるさまは暴力的でさえある。「可愛い」は「好ましい」と言い換えてもよいのだが、後者に前者ほどの力強さはない。

いくらピンクが可愛らしくて好ましい色でも、「自分が身に着けたいどうか」は、また別の話。今は濃いピンク色のサザンカがあちこちで咲いていて綺麗だが、同じ色の服があったとして、あの目立つピンクを身に着ける勇気はない。

 

ピンク色の女性向け製品などありふれているので、選択肢が狭いものの場合はピンク色のものを使わざるをえないことも多いのだけれど、服は選択肢が広いのでそうもいかない。 ピンク以外にだって、女性が好みそうだと考えられる色はいくつもあるのだ。

もし、ピンク色の服を着た女性を見るのが好きな人(男性かもしれないし、女性かもしれない)がいたとして、その人はどうすれば今よりピンク色の服の女性を増やせるか。

権力者になって強制的にピンクの服を着せる、というのもひとつの手だろうが、それでは後世までピンクは忌まわしい色として記憶される。かえってピンクの使用を禁じた方が、人々はピンクを求めるだろう。

などという現実離れした話はさておき(現実にも無自覚かつ小規模ながらこういった現象は起きていて、それがおそらく「ダサピンク現象」なのだけれど)。

その人が男性だった場合は特に、女性に直接「こういう服がいいんじゃない?」と推しても、「ちょっと違うんだよなあ」と思わせるにとどまる可能性が高い。だいたいにおいて女性の方が(好きでも嫌いでも)ピンク慣れして目が肥えているのだから。ソムリエにワインを贈るときとか、魚屋を営む人に魚料理を振る舞うときくらいの覚悟が必要だと思う(私なら相手の専門外のものを選ぶだろう)。

ピンクに詳しい人が多いであろう女性の場合でも、相手の好みとずれていれば、デザインや品質がどれだけよいものでも心から喜んではもらえないはずだ。自分がピンクを好きなように、相手にもこだわりがあることを認め尊重しなければ、いずれ自分も自分の好きなものも否定される。

 

数年前に沖縄の紅型を知って以来、(買うお金はないけれど)紅型の着物に憧れているので、正直なところ老若男女がああいうカラフルで華やかな服を着ていてもいいのにと思っている。いつか紅型を着る日が来ても、私が浮かずに済む(すごく他力本願な気はするが、これでも日ごろからなるべく明るい色の服を着ようとしたり、大きめの柄があるものを選ぶなどの小さな積み重ねはしているのだ。少しでも紅型みたいな服の人が増えてほしいから)。

すべての女性をピンク色好きにすることはできない。でも、気軽に明るい色や淡い色(必ずしもピンクでなくてもよい)を身に着ける男性や年配の人が増えれば、ピンクの服の女性はきっと今より増える。ピンクを「(若い)女性らしい色」として意識し、恥ずかしがってあまり身に着けない女性が、気負わずにピンクを選べるようになるだろうから。あとは女性の側が勝手に、自分に一番似合うピンクを身に着けてくれる。作るのも当事者である女性に任せた方が、女性の納得のいくものができる可能性が高い。

ひらひらした服を着た女性をもっと見たい場合も同様である。ベルサイユのばらキャンディ・キャンディなどをイメージしていただければわかりやすいかと思う。男性も割とひらひらしている。

好きなものを広めたいなら、どういう立場であっても地道な努力が必要。

 

ピンク色の服を着た女性になんとなく惹かれる男性あるいは女性が、もしこれを読んでくれているとしたら。

あなたがピンクなどの明るい色、淡く可愛らしい色の服を着て、それが仮にしっくりこなかったとしても、あなたが着ていることで安心して、もっとそういうのが似合う別の誰かが着てくれるかもしれない。そうしてピンクが今以上に「女性向けの色」でなく「一般的な色」になれば、もっとピンクの服の女性は増える。結果的にあなたが得をするのだ。いわゆる「隗より始めよ」である。